開発事例④
崩壊寸前のチームを立て直せ〜待ったなしのプロジェクトの行方は〜

[登場人物] ※登場人物は全て仮名です。
プロジェクトマネージャー 青田喜久雄、石田(元請責任者)

キャリア30年のベテラン・青田喜久雄は、旧知の取引先常務である石田から一本の電話を受けた。
彼は疲れ果てたように話した。

「私が責任者をしているプロジェクトが大変なことになっている。プロジェクトマネージャーがメンバーのスキルや作業量を無視して『納期を守れ』の一点張り。そのせいでメンバーから総スカンを食らいチームは崩壊寸前だ。それぞれが自分勝手に作業を進めるものだから、プロジェクト自体も暗礁に乗り上げている」

案件は、大手ボランタリーチェーンの物流システムの再構築。
青田のマネジメント能力を高く評価している石田が、自社の社員であるプロジェクトマネージャーを更迭し、青田にピンチヒッターを依頼してきたのだった。
青田は悩んだ。チームの立て直しから始めなくてはならないし、時間の猶予もない。大変さは容易に想像できたが、自分の能力を買ってくれている石田の期待に応えたい。その一心でプロジェクトへの参加を決意したのだった。

プロジェクトメンバーは25名。青田にとっては全員が初対面である。
一人一人のスキルのレベルや、どのような個性の持ち主なのかもわからない。まずはメンバーのスキルレベルや人間性を見極めるところから立て直しはスタートした。
具体的には、各人が過去に担当したプログラムの難易度と作成時間を分析し、スキルレベルをA,B,Cの3段階に振り分けた。その後メンバー間のコミュニケーションを観察。スキルレベルAで、なおかつ知恵袋としてメンバーから厚い信頼を得ている2名をテクニカルリーダーに任命した。

この時点で未着手のプログラムは約200本。青田は2人のテクニカルリーダーとともに、プログラムの担当割と納期設定を一から作り直した。さらにテクニカルリーダーからプロジェクトの状況をヒアリングし、3つの課題を抽出した。
1. 機能分割が甘いためプログラム間で重複してコーディングしている。
2. 高スキルのメンバーが、スキル不足のメンバーからの質問対応に時間を取られ、負担が増大し作業効率も落ちている。
3. 情報共有の場がないため、解決したはずの類似の問題点について、複数のプログラムでそれぞれ解決策を探り、時間を無駄に費やしている。

青田はこれらの課題を解決するため対応策を打ち出し、即実践した。

1. テクニカルリーダーをプログラミング担当から外し、全機能の設計書の読み込みと共通部品の作成に専念させた。
2. 技術的な相談窓口は2名のテクニカルリーダーに限定し、スキル不足のメンバーが抱える課題を共有。解決策をスピーディーに打ち出せるようにした。
3. 朝礼を実施し、プロジェクト管理ツールの課題管理機能を運用。課題や解決方法の情報共有を徹底した。

また、青田とメンバーの間の垣根を取り払うため施策を実施した日にプロジェクト全員での親睦会も開催した。

メンバーは徐々に青田に心を許し、打ち解けていった。

その後はテクニカルリーダー2名との情報共有を密にし、スケジュール調整や担当者変更にも臨機応変に対応。納期遅延が起こらないよう最新の注意を払い、プロジェクトを進めた。青田はテクニカルリーダーの2人と定期的に夕食を共にし、信頼関係を深めることも欠かさなかった。
青田と25人のメンバーは、ついにプロジェクトを完遂した。
一刻の猶予も許されない中でプロジェクトを立て直し、遅延なく本稼動にこぎつけたのだ。
プロジェクトマネージャーとしての青田の能力、行動力や統率力、そして青田についてきてくれたメンバーのスキルとチームワーク。それらが一つになり成し得た成果である。
仕事はチームワークがあってこそはじめて達成できるのだ。